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質問への回答をご相談者様へのお悩みにもお役立てください

大阪府にて発達障がいを抱えている方たちへの相談支援に携わる相談支援専門員として、ご相談者様から頂いたご質問に対しても真摯な対応に努めています。そこで、ご相談者様から頂いたご質問の中からよくあるものを選出し、これからご利用になる方々のお役に立てるようにその回答を掲載しています。
普段の生活でのお悩みやご利用になる際の疑問などの解消にお役立ていただける場合もございますので、お時間のある方はぜひ一度ご覧ください。

よくある質問

FAQ

障がい年金

障がい年金とは
障がい年金とは、障害や病気によって生活や仕事に支障が出た場合に支給される年金です。年金というと高齢になってから受け取る老齢年金のイメージが強いですが、障がい年金は若くても受け取ることができます。また、障がい者手帳の交付とは関係なく、手帳を所持していなくても支給されます。 障がい年金には、障がい基礎年金と障がい厚生年金の2種類があります。
障がい基礎年金とは?
障がいや病気について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金に加入していた方が受給できる障がい年金です。また、20歳未満(国民年金に加入前)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)の間に障がいが生じ、その状態が続いている人にも給付されます。
障がいの度合いに応じて、1級と2級に該当します。この場合の等級は、障がい者手帳の等級とは関係ありません。
障害厚生年金とは?
障がいや病気について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、厚生年金に加入していた方が受給できる障害がい年金です。障がい基礎年金に上乗せするものとして給付されます。
障がいの度合いに応じて、1~3級に該当します。なお、障がい厚生年金を受けるよりも軽い障がいの場合には、一時金である障がい手当金が支給されます。
障がい年金の対象者は?
障がい年金の対象者は基本的に病名を問わず、日常生活や仕事に支障があるかどうかで判断されます。程度が重ければ、偏頭痛であっても支給される場合があります。
ただ、精神障がいのうち、人格障がい(パーソナリティ障がい)と神経症は原則対象外とされています。以下は障がい年金の対象となる障がいや病気の一例ですので、参考にしてみてください。

・外部(身体)障がい…眼、聴覚、肢体(手足など)の障がいなど
・精神障がい…統合失調症、うつ病、認知障がい、てんかん、知的障がい、発達障がいなど
・内部障がい…呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

障がい基礎年金と障がい厚生年金の等級は、障がいの程度によってどの等級に該当するかが異なります。 障がいの状態は人によって異なりますが、簡単に説明すると、1級は身のまわりのことはかろうじてできるものの、日常生活に他人の介助が不可欠な状態です。2級は、自宅での簡単な活動(軽食づくり、洗濯など)はでき、他人の介助は必須ではないけれども、日常生活に困難が伴い、就労により収入を得ることがなかなか難しい状態です。
また、障がい厚生年金のみ該当等級のある3級は、就労が著しい制限を受けている状態です。
障がい年金は働いていてももらえるの?
障がい厚生年金3級は「労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障がいを有する」状態を想定しており、働きながらでも受給できる可能性があります。労働の制限とは例えば、体調を考慮して時短勤務で働いている、休職中である、障がい者雇用で働いている、などの状況が考えられます。障がい厚生年金をもらうためには初診日に厚生年金に加入していることが条件です。
障がい(基礎・厚生)年金2級の方が就労した場合、「日常生活に著しい制限がある」と判断されず、等級が変わることがあるかもしれません。受給しているのが障がい基礎年金の場合は、3級がないので支給が停止することも考えられます。
働きながら障がい年金をもらうことに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、障がい年金をもらいながら就労を続けることで、生活費や治療費の不安が払しょくでき、体調が悪い際にも安心して仕事を休むことができます。しっかりと仕事を休めることは、体調の安定にもつながるのです。
生活、そして就労を支える手段として障がい年金の利用を検討してみてください。
障がい年金の申請に必要な条件とは?
障がい年金を受給するためには、3つの条件があります。初診日が特定できること、保険料が納付されていること、一定の障がいの状態であることです。以下で詳細に見ていきましょう。

■初診日が特定できること
初診日とは、障がいの原因となった病気や怪我について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。病院を転院した場合は、最初に受診した病院での診察日になります。
初診日は基本的にカルテで証明することになります。ただ、カルテ保存期間を過ぎていたり、病院が廃院していたりした際には、障がい者手帳や医師の診断書、お薬手帳や診療報酬請求明細書(レセプト)などの書類で証明します。
ちなみに、知的障がいに関しては出生日が初診日となります。また、発達障がいは幼少の頃から症状が出ていたとしても、20歳以降に受診した場合は、その受診日が初診日になります。
■保険料が納付されていること
以下の2つのどちらかに当てはまっている必要があります。
・初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が保険料納付済みか免除されている月であるとき
・初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料納付済みか免除を受けた月であるとき

保険料の納付状況については、年金事務所に問い合わせるか、日本年金機構のウェブ上サービス「ねんきんネット」で確認ができます。
<参考文献>
日本年金機構 「ねんきんネット」
一定の障がいの状態であること
初診日と保険料が納付されていることを確認したら、「障がい認定日」を調べましょう。
障がい認定日とは、障がいの原因となった病気や怪我などの初診日から1年6ヶ月を経過した日、または1年6ヶ月以内に症状が固定化した日のことです。固定化とは、例えば喉頭全摘出などの手術、心臓ペースメーカーの装着日、今後の回復がこれ以上期待できないと判断された場合などです。この障がい認定日以降に、障がいの状態に該当するのであれば、障がい年金の受給対象となります。
なお、「今後の回復がこれ以上期待できない」ことによる障がい認定日の判断は医師の診断に基づくため、障がい認定日がいつになるのか知りたい場合は主治医に聞いてみてください。
初診日が20歳よりも1年6ヶ月以上前の時点にあるときは、20歳に達した日が障がい認定日です。
障がい年金の申請方法は?
申請手続きは、障がい基礎年金であればお住まいの市区町村窓口で行い、障がい厚生年金であれば年金事務所で行います(障がい基礎年金については年金事務所での申請も可)。障がいなどによって本人が窓口に行くことができない場合は、家族を含む代理人に委託することもできます。
申請後は日本年金機構が審査し、支給の有無や等級を決定します。支給決定までの期間は、約3ヶ月半ほどがかかると言われています。
請求方法は?
障がい年金の請求方法には、障がい認定日請求と事後重症請求の2種類があります。提出書類の内容や、受給できる額や時期が異なってきます。

障がい認定日請求
障がい認定日から1年以内に請求する方法です。障がい認定日以降3ヶ月以内の状態について書かれた診断書が必要になり、障がい認定日の翌月分からの年金が受給できます。
1年を経過した後でも請求できますが、時効があるので、さかのぼって受給できるのは5年分までです。この場合は、障がい認定日当時の診断書と、請求日以前3ヶ月以内の診断書の2枚が必要となります。
なお、初診日が20歳より前で、国民年金・厚生年金いずれにも加入していない場合は、障がい認定日前後3ヶ月以内の状態について書かれた診断書が必要となります。

事後重症請求
障がい認定日には障がいの状態には該当しなかった方が、その後悪化して、65歳に達する日の前日までに障がいに該当した場合の請求方法です。請求日の翌月分から受給できます。 請求日以前3ヶ月以内の診断書が必要です。過去分の受給はできず、請求月の翌月分からの受給となります。
必要な書類は?
■障がい基礎年金の必要書類
・年金請求書(居住地の市区町村役場、または近くの年金事務所または街角の年金総合センター窓口に備え付けられています)
・基礎年金番号の分かるもの(年金手帳など)
・世帯全員の住民票
・医師の診断書
・受診状況等診断書
・病歴・就労状況等申立書
・受取先の金融機関の通帳等
・印鑑
・請求者本人の所得証明書(20歳前障がいの場合)
・障がい者手帳(所持している場合)
※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障がいのある子どもを含む)がいる場合
・戸籍謄本
・子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書等)
・医師、または歯科医師の診断書(20歳未満で障がいのある子どもがいる場合)
<参考文献>
日本年金機構 「障がい基礎年金を受けられるとき」

■障がい厚生年金の必要書類
・年金請求書
・基礎年金番号の分かるもの(年金手帳など)
・世帯全員の住民票
・医師の診断書
・受診状況等診断書
・病歴、就労状況等申立書
・受取先金融機関の通帳等
※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障がいのある子どもを含む)がいる場合
・戸籍謄本
・配偶者の収入が確認できる書類
・子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書等)
・医師、または歯科医師の診断書(20歳未満で障がいのある子どもがいる場合)
<参考文献>
日本年金機構 「障がい厚生年金を受けられるとき」
障がい年金はいくらくらいもらえるの?
障がい基礎年金は年度によって若干の変動がありますが、基本的には一律の額が支給されます。一方、障がい厚生年金は厚生年金の加入月数や給料の金額に比例して額が変化します。 以下は2017年度の金額ですので、参考にしてみてください。

■障がい基礎年金
・1級の場合の年額:779,300円×1.25+子の加算
・2級の場合の年額:779,300円+子の加算
※子の加算…第1子・2子は一人につき224,500円。第3子以降は一人につき74,800円。このときの子供とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障がい等級1級または2級の障がい者に限ります。

■障がい厚生年金
・1級の場合:(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
・2級の場合:(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
・3級の場合:報酬比例の年金額または最低保障額 584,500円
※1級・2級の場合障がい基礎年金も加わる
今後の手続きは?更新の必要はある?
障がい年金には永久認定と有期認定があります。永久認定であれば、今後は手続きは一切必要なく、生涯にわたって年金が受給できます。有期認定の場合は、障がいの状態を定期的に報告し、更新する必要があります。
永久認定とされるのは、切断による四肢の障がいなど、症状が固定化し、今後も変わらないことが見込まれる場合です。一方、有期認定は治療などによって障がいの状態が変化する可能性がある場合です。障がいによって異なりますが、1~5年のいずれかの期間で定期的に診断書を提出し、その都度障がいに該当するのかを判断してもらうことになります。

障がい者手帳

障がい者手帳とは?
「障がい者手帳」とは、障がいのある人に交付される手帳です。
障がい者手帳を持つことが障がい者としての証明になるため、障がい者手帳は非常に重要な役割を持っています。福祉サービスを受ける際や、障がい者雇用枠で仕事を探す際にも必要です。
また、障がいのある本人だけではなく、企業でも障がい者雇用の雇用率引き上げにより、障がい者手帳について理解する必要があります。
しかし、障がい者手帳を取得している人でも、障がい者枠以外で就職活動をしても問題はありません。あくまでも、障がい者枠で応募ができる資格があるだけですので、障がい者採用求人に応募するかしないかというのは、本人の自由となっています。
障がい者手帳の対象疾患・等級
それぞれの障がい者手帳には、基になる法律があり、目的も決められています。申請は、各都道府県に出しますが、対象の疾患に当てはまるものがないと発行が認められません。
障がい者手帳は、3つの種類があります。対象の疾患を、それぞれ見てみましょう。

・身体障がい者手帳
【基になる法律】身体障がい者福祉法
【対象の疾患】視覚・聴覚・平衡機能・音声・言語・そしゃく、肢体(上肢、下肢、体幹)不自由、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう又は直腸、小腸、免疫(ヒト免疫不全)、肝臓
【取得条件】疾病によって障がいが永続し、生活動作が不自由であること

身体に疾病がある人が対象で、就学や就労を含む日常生活の場で、身体障がいのある人の支援や、自立の目的で交付されます。
身体障がい者手帳には、1級から6級までの等級があります。7級の障がいは、2つ以上重複すると対象になるなど組み合わせで認められる場合もあります。

・精神障がい者福祉保健手帳
【基になる法律】精神保健福祉法
【対象の疾患】
精神疾患:統合失調症、うつ病、そううつ病などの気分障がい、てんかん、薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症、高次脳機能障がい、発達障がい(自閉症、学習障がい、注意欠陥多動性障がい等)、その他の精神疾患(ストレス関連障がい等)
発達障がい:広義の「発達障がい」
【取得条件】精神疾患及び発達障がいがあるために生活に支障があること

社会生活・日常生活を送る際に制約がある人の支援や自立の目的で交付されます。都道府県知事・指定都市市長に申請します。1級から3級まであります。2年おきに更新する必要があります。更新するために必要なものは新たな診断書の提出です。

・療育手帳
【基になる法律】ありません。地方自治体の裁量が強く影響する手帳で、全国一律の基準もありません。
【対象の疾患】【取得条件】「知的障がいあり」と判定されること(児童相談所、知的障がい者更生相談所で判定されます。)

「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」のガイドラインに基づいている手帳ですが、住んでいる地域によって名前もさまざまです。
例えば、東京都では「愛の手帳」、埼玉県では「みどりの手帳」と呼ばれています。
重度「A」と重度以外の中軽度「B」の2種類の区分でわけられます。
障がい者手帳の申請方法
法律に基づいて交付される「身体障がい者手帳」と「精神障がい者保健福祉手帳」に関しては、指定医による診断書が必要です。

診断書には、フォーマットがある場合があるので、それぞれ各市区町村の障がい福祉窓口で確認しましょう。申請は、各市区町村の「障がい福祉窓口」で行います。

医師による診断書・意見書を用意できたら、本人確認ができる書類(住民基本台帳カード、パスポート、個人番号カードなど)、申請する本人の縦4cm横3cmの写真が必要です。
「精神障がい者保健福祉手帳」の場合には、さらにマイナンバーが分かるものも必要です。

代理人による申請も可能ですが、代理権の確認書類(委任状や申請者本人の健康保険証など)と、代理人の身元確認書類(個人番号カードや運転免許証)が必要です。

15歳以上の人は、本人が窓口を訪れて申請しますが、15歳未満の人は保護者が申請に行きます。「身体障がい者手帳」は、申請から約1ヶ月程度で発行されます。「精神障がい者保健福祉手帳」は、2カ月ほどの期間が必要です。

療育手帳の申請は、各市区町村の「障がい福祉担当窓口」で申し込みます。
この時は、知的障がい判定を受ける予約だけになります。予約の日に、実際に知的障がい判定を受けます。

その後、必要な書類を揃えて面接が行われます。必要な書類は、申請する本人の縦4cm横3cmの写真と印鑑などです。発行は、約1ヶ月ほどかかり、郵送で本人に通知されます。
身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳で受けられる福祉サービス
障がい者手帳を提示することで、受けられるサービスは以下のようなサービスがあります。障がいの種類・等級によっても助成の内容は変わるので注意しましょう。

・医療費の助成が受けられます。
障がい者手帳を持つことで、受けられる福祉サービスの中で、やはり一番利用価値が高いサービスではないでしょうか。18歳以上の身体障がい者の医療費負担が軽減される制度です。

・指定の医療機関で医療費の自己負担が、原則1割で済みます。
地方自治体ごとに医療費助成もあり、一部負担金だけで医療を受けることが可能です。
そのためには、障がい者手帳の提示が必要となっています。

・補装具の助成が受けられます。
補装具とは、車いす・補聴器・盲人安全杖・義肢・歩行器などのことを言います。
補装具の交付・購入・修理で必要な費用の助成が受けられます。その際の自己負担額は、原則1割です。

・リフォーム費用の助成が受けられます。
住宅リフォーム費用の給付が受けられます。たとえば、手すりを付ける必要がある時、段差を解消するリフォームが対象です。

・所得税・住民税・自動車税などの軽減が受けられます。
等級によって変わりますが、一定の金額の所得控除が受けられます。
「障がい者控除」「特別障がい者控除」「同居特別障がい者控除」という種類の控除になります。
対象となるのは、障がい者手帳を持つ本人が納税者である場合、または精神障がい者保健福祉手帳の交付を控除対象配偶者・扶養親族が受けている場合です。また、1級の方と同居している場合には、年末調整か確定申告で申請することで配偶者控除・扶養控除に加算があります。
さらに、相続税・贈与税に関しても特例を受けることが可能です。
自動車取得税・自動車税・軽自動車税の軽減は、障がい者が所有する自動車に対して発生します。

・公共料金の割引サービスが受けられます。
公共料金とは、公共交通機関である鉄道やバスが対象で、身体障がい者手帳を提示することで運賃の割引サービスを受けることができます。本人だけが対象の場合と介護者も対象となる場合があります。
タクシー・飛行機・高速道路の料金も割引を受けることができます。しかし、サービスによっては事前に市区町村で申し込みが必要な場合があります。

・その他の割引サービス
一般的には、NHK放送受信料・携帯電話会社の料金割引サービス・美術館・博物館・動物園の入場料割引が受けられます。
障がい者手帳を提示することで、これらのサービスが受けることができるので、当てはまる障がいのある人は申請するようにしましょう。
申請後、実際に障がい者手帳が交付されるまでに1か月以上間が空くことが多いので、この点も注意が必要です。

では、障がい者手帳は、持っていることで多くのメリットを受けることができますが、持っていてデメリットになることはあるのでしょうか。
障がい者手帳の発行時に必要な医師の診断書を発行する診断料が必要なこと、2年に1度更新が必要なことが挙げられます。しかし、障がい者手帳を持つことによって、受けられるサービスに魅力を感じる人なら、取得しておくのがおすすめです。
誰でも取得できるものではなく、利用できる人が利用するためのサービスなのです。
療育手帳で受けられるサービス
療育手帳は、法律に基づいて交付される「身体障がい者手帳」と「精神障がい者保健福祉手帳」とちがい、法律によって定められている手帳ではありません。しかし、療育手帳を持っていることで受けることができるサービスもあります。

特別児童扶養手当(1級月額51500円・2旧月額34300円)
療育手帳が無くても、申し込みは可能です。しかし、診断書の提出が必要です。

障がい児福祉手当(月額14600円)
療育手帳が無くても申請可能です。しかし、再認定時には療育手帳があれば手続きが簡略化できます。

特別障がい者手当(月額26830円)
療育手帳が無くても申請可能です。しかし、再認定時には療育手帳があれば手続きが簡略化できます。

心身障がい者福祉手当重度心身障がい者手当(月額2000円~15000円)
自治体によって異なります。療育手帳は必要な自治体が多いようです。
心身障がい者医療費助成(医療費自己負担額が無料など)
自治体によってことなります。これも療育手帳が必要な自治体が多いようです。

療育手帳によって受けられる手当は上記5種類がありますが、国からの手当てか地方自治体からの手当てかによっても手続きは異なります。

所得税・住民税・自動車税は、「障がい者控除」、「特別障がい者控除」、「同居特別障がい者控除」が利用できます。納税者か、療育手帳が交付されている控除対象配偶者・扶養親族がいれば一定の金額の所得控除が受けられます。等級によって金額は異なります。

療養手帳には、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」という欄があります。この欄に書かれている等級によって、公共料金の割引サービスを受けることが可能です。
障がい者雇用
身体障がい者手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」「療育手帳」を持つ人が対象です。

上記の障がい者手帳を持っている人は、障がい者雇用促進法に基づく就職活動・転職活動が可能です。障がい者本人だけではなく企業も知っておく必要があるサービスです。

一般事業主で、45.5人以上の従業員がいる企業は、従業員数の2.2%以上の身体障がい者・知的障がい者を雇用する必要があります。雇用率を達成していれば、国から障がい者雇用調整金が事業所に支給されます。しかし、達成していなければ、障がい者雇用納付金を徴収されてしまいます。

障がい者手帳を持っている人は、この障がい者雇用促進法を利用した障がい者雇用枠での応募はもちろん、一般採用枠でも企業に応募することが可能です。
障がい者手帳について正しい知識を持とう
「身体障がい者手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」「療育手帳」は、それぞれ割引サービスなど利用できるサービスがあります。障がい者手帳は、これらのサービスを受ける資格があるという証明です。
障がい者手帳によって受けられるサービスを知り、しっかりとそのサービスを受けるようにしましょう。障がい者手帳の種類は、病院の診断名によって決まるわけではありません。
障がい者手帳の取得が可能かどうかは、各市区町村の自治体によって異なります。ぜひ、お住まいの自治体の「障がい者福祉課」に問い合わせて確認しましょう。
自分の障がいについて、正しい情報を持っているかいないかで受けられるサービスが変わってしまいます。自分の障がいの等級だけではなく様々な制度や情報に関心を持ち情報を得ていきましょう。
たとえば、聴覚障がいの等級は2級、3級、4級、6級となっています。
1級、5級、7級はないというのはご存知ですか?
ほかにも心臓機能障がいの場合だと1級、3級、4級、となっていたり、体幹機能障がいだと1級、2級、3級、5級となっていたりします。
せめて自分の障がいの等級やその判定基準については基礎知識として知っておくことは大事でしょう。自分の等級を理解して、それを客観的に伝えることが必要です。
特に、企業の面接では、障がい者雇用枠であっても自分の障がいを伝えられることは必須条件と言えます。その時に利用できるアイテムとしても、障がい者手帳を取得することは大事なのです。

成年後見

成年後見制度とはどのような制度なのですか?
認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方(ここでは「本人」といいます。)について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。
申立てはどこの家庭裁判所にすればよいのですか?
本人の住所地を管轄する裁判所までご連絡ください。または管轄の家庭裁判所が分からない場合は、最寄りの家庭裁判所へお尋ねください。
誰が申立てをすることができるのですか?
申立てに必要な書類や費用のうち,主なものは次のとおりです。
●申立書
●診断書(成年後見用)
●申立手数料(1件につき800円分の収入印紙)
●登記記手数料(2,600円分の収入印紙)
●郵便切手
●本人の戸籍謄本 など
詳しくは,家庭裁判所に用意されている一覧表などでご確認ください。
「後見(こうけん)」制度(せいど)を利用した事例を教えてください。
次のような事例があります。
○後見開始事例
ア 本人の状況:アルツハイマー病
イ 申立人(もうしたてにん):妻
ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):申立人(もうしたてにん)
エ 概要(がいよう)
本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく,2年前から入院しています。
ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)を申し立てました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て、本人について後見(こうけん)が開始され,夫の財産管理や身上監護(しんじょうかんご)をこれまで事実上担(にな)ってきた妻が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任され,妻は相続放棄の手続をしました
「保佐(ほさ)」制度ってどんな制度ですか?
精神上の障がい(認知症(にんちしょう)・知的障がい(ちてきしょうがい)・精神障がい(せいしんしょうがい)など)により,判断能力(はんだんのうりょく)が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人(ほしょうにん)となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任した保佐人(ほさにん)の同意を得ることが必要になります。保佐人(ほさにん)の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人(ほさにん)が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人(ほさにん)の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。また,家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審判(しんぱん)によって,保佐人(ほさにん)の同意権(どういけん)・取消権(とりけしけん)の範囲を広げたり,特定の法律行為(ほうりつこうい)について保佐人(ほさにん)に代理権(だいりけん)を与えることもできます(※)。
※ 保佐人(ほさにん)の同意権(どういけん)・取消権(とりけしけん)の範囲を広げたり,保佐人(ほさにん)に代理権(だいりけん)を与えるためには,自己決定の尊重から,当事者が,同意権(どういけん)等や代理権(だいりけん)による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判(しんぱん)の申立てをしなければなりません。また,保佐人(ほさにん)に代理権(だいりけん)を与えることについては,本人も同意している必要があります。この申立ては,保佐開始(ほさかいし)の審判(しんぱん)の申立てとは別のものです。
「保佐(ほさ)」制度を利用した事例を教えてください。
次のような事例があります。
○保佐開始事例(ほさかいしじれい)
ア 本人の状況:中程度の認知症(にんちしょう)の症状
イ 申立人(もうしたてにん):長男
ウ 保佐人(ほさにん):申立人(もうしたてにん)
エ 概要(がいよう)
本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが,最近症状が進み,買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか,分からなくなることが多くなり,日常生活に支障が出てきたため,長男家族と同居することになりました。隣県に住む長男は,本人が住んでいた自宅が老朽化(ろうきゅうか)しているため,この際自宅の土地,建物を売りたいと考えて,保佐開始(ほさかいし)の審判(しんぱん)の申立てをし,併せて土地,建物を売却することについて代理権付与(だいりけんふよ)の審判(しんぱん)の申立てをしました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て,本人について保佐(ほさ)が開始され,長男が保佐人(ほさにん)に選任されました。長男は,家庭裁判所(かていさいばんしょ)から居住用不動産の処分についての許可の審判(しんぱん)を受け,本人の自宅を売却する手続を進めました。
「補助(ほじょ)」制度ってどんな制度ですか?
軽度の精神上の障がい(認知症(にんちしょう)・知的障がい(ちてきしょうがい)・精神障がい(せいしんしょうがい)など)により,判断能力(はんだんのうりょく)の不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審判(しんぱん)によって,特定の法律行為(ほうりつこうい)について,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任した補助人(ほじょにん)に同意権(どういけん)・取消権(とりけしけん)や代理権(だいりけん)を与えることができます(※)。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人(ほじょにん)の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。
※ 補助人(ほじょにん)に同意権(どういけん)や代理権(だいりけん)を与えるためには,自己決定の尊重の観点から,当事者が,同意権(どういけん)や代理権(だいりけん)による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判(しんぱん)の申立てをしなければなりません。この申立ては,補助開始(ほじょかいし)の審判(しんぱん)とは別のものです。なお,補助(ほじょ)に関するこれらの審判(しんぱん)は,本人自らが申し立てるか,本人が同意している必要があります。
「補助(ほじょ)」制度を利用した事例を教えてください。
次のような事例があります。
○補助開始事例(ほじょかいしじれい)
ア 本人の状況:軽度の認知症(にんちしょう)の症状
イ 申立人(もうしたてにん):長男
ウ 補助人(ほじょにん):申立人(もうしたてにん)
エ 概要(がいよう)
本人は,最近米を研(と)がずに炊いてしまうなど,家事の失敗がみられるようになり,また,長男が日中仕事で留守の間に,訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所(かていさいばんしょ)に補助開始(ほじょかいし)の審判(しんぱん)の申立てをし,併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与(どういけんふよ)の審判(しんぱん)の申立てをしました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て,本人について補助(ほじょ)が開始され,長男が補助人(ほじょにん)に選任されて同意権(どういけん)が与えられました。その結果,本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には,長男がその契約(けいやく)を取り消すことができるようになりました。

(注)最高裁判所(さいこうさいばんしょ)「成年後見関係事件(せいねんこうけんかんけいじけん)の概況(がいきょう)」から
成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)には,どのような人が選ばれるのでしょうか?
成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)には,本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任することになります。本人の親族以外にも,法律・福祉の専門家その他の第三者や,福祉関係の公益法人(こうえきほうじん)その他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)を複数選ぶことも可能です。また,成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)を監督する成年後見監督人(せいねんこうけんかんとくにん)などが選ばれることもあります。
親族以外の第三者が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任された事例を教えてください。
次のような事例があります。
○親族以外の第三者が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任された事例
ア 本人の状況:統合失調症(とうごうしっちょうしょう)
イ 申立人(もうしたてにん):叔母(おば)
ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):司法書士(しほうしょし)
エ 成年後見監督人(せいねんこうけんかんとくにん):社団法人成年後見(しゃだんほうじんせいねんこうけん)センター・リーガルサポート
オ 概要(がいよう)
本人は20年前に統合失調症(とうごうしっちょうしょう)を発症し,15年前から入院していますが,徐々に知的能力が低下しています。また,障がい認定1級を受け障がい年金から医療費が支出されています。本人は母一人子一人でしたが,母が半年前に死亡したため,親族は母方叔母(おば)がいるのみです。亡母が残した自宅やアパートを相続し,その管理を行う必要があるため,母方叔母(おば)は後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)の申立てを行いました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て,本人について後見(こうけん)が開始されました。そして,母方叔母(おば)は,遠方に居住していることから成年後見人(せいねんこうけんにん)になることは困難であり,主たる後見事務は,不動産の登記手続とその管理であることから,司法書士(しほうしょし)が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任され,併せて社団法人成年後見(しゃだんほうじんせいねんこうけん)センター・リーガルサポートが成年後見監督人(せいねんこうけんかんとくにん)に選任されました。

ア 本人の状況:重度の知的障がい(ちてきしょうがい)
イ:申立人(もうしたてにん)
母 ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):社会福祉士(しゃかいふくしし)
エ 概要(がいよう)
本人は,一人っ子で生来の重度の知的障がい(ちてきしょうがい)があり,長年母と暮らしており,母は本人の障がい年金を事実上受領し,本人の世話をしていました。ところが,母が脳卒中(のうそっちゅう)で倒れて半身不随(はんしんふずい)となり回復する見込みがなくなったことから,本人を施設に入所させる必要が生じました。
そこで,本人の財産管理と身上監護(しんじょうかんご)に関する事務を第三者に委ねるために後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)を申し立てました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て,本人について後見(こうけん)が開始されました。そして,本人の財産と将来相続すべき財産はわずかであり,主たる後見事務は,本人が今後どのような施設で生活することが適切かといった身上監護(しんじょうかんご)の面にあることから,社会福祉士(しゃかいふくしし)が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任されました。

(注)最高裁判所(さいこうさいばんしょ)「成年後見関係事件(せいねんこうけんかんけいじけん)の概況(がいきょう)」から
複数の成年後見人(せいねんこうけんにん)が選任された事例を教えてください。
次のような事例があります。
○複数の成年後見人(せいねんこうけんにん)が選任された事例
ア 本人の状況:重度の認知症(にんちしょう)の症状
イ 申立人(もうしたてにん):長男
ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):申立人(もうしたてにん)と本人の二女
エ 概要(がいよう)
本人は夫を亡くした後,一人暮らしをしてきましたが,約10年前から徐々に認知症(にんちしょう)の症状が現れ,3か月前から入院しています。最近では見舞いに訪れた申立人を亡夫と間違えるほど症状は重くなる一方です。本人の入院費用の支払に充(あ)てるため,本人の預貯金を払い戻す必要があり,後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)が申し立てられました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理の結果,本人について後見(こうけん)が開始されました。そして,近隣に住んでいる長男と二女が,本人が入院する前に共同して身のまわりの世話を行っていたことから,長男と二女が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任され,特に事務分担は定められませんでした。

ア 本人の状況:くも膜下出血による植物状態
イ 申立人(もうしたてにん):妻
ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):申立人(もうしたてにん)と弁護士
エ 概要(がいよう)
2年前に本人はくも膜下出血で倒れ意識が戻りません。妻は病弱ながら夫の治療費の支払いや身のまわりのことを何とかこなしていました。しかし,本人の父が亡くなり,遺産分割協議の必要が生じたため,後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)を申し立てました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理の結果,本人について後見(こうけん)が開始されました。そして,妻は,子どもと離れて暮らしており,親族にも頼る者がいないため,遺産分割協議や夫の財産管理を一人で行うことに不安があったことから,妻と弁護士が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任され,妻が夫の身上監護(しんじょうかんご)に関する事務を担当し,弁護士が遺産分割協議や財産管理に関する事務を担当することになりました。

(注)最高裁判所(さいこうさいばんしょ)「成年後見関係事件(せいねんこうけんかんけいじけん)の概況(がいきょう)」から
成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)の役割は何ですか?
成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)は,本人の生活・医療・介護・福祉など,本人の身のまわりの事柄(ことがら)にも目を配りながら本人を保護・支援します。しかし,成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)の職務は本人の財産管理や契約(けいやく)などの法律行為(ほうりつこうい)に関するものに限られており,食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)の職務ではありません。
また,成年後見人等(せいねんこうけんにんとう)はその事務について家庭裁判所(かていさいばんしょ)に報告するなどして,家庭裁判所(かていさいばんしょ)の監督を受けることになります。
成年後見(せいねんこうけん)の申立てをする方がいない場合は,どうすればよいのでしょうか?
身寄りがないなどの理由で,申立てをする人がいない認知症高齢者(にんちしょうこうれいしゃ),知的障がい者(ちてきしょうがいしゃ),精神障がい者(せいしんしょうがいしゃ)の方の保護を図るため,市町村長に法定後見(ほうていこうけん)(後見(こうけん)・保佐(ほさ)・補助(ほじょ))の開始の審判(しんぱん)の申立権(もうしたてけん)が与えられています
市町村長が後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)の申立てを行った事例を教えてください。
次のような事例があります。
○市町村長が後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)を申し立てた事例
ア 本人の状況:知的障がい(ちてきしょうがい)
イ 申立人(もうしたてにん):町長
ウ 成年後見人(せいねんこうけんにん):司法書士(しほうしょし)
エ 概要(がいよう)
本人には重度の知的障がい(ちてきしょうがい)があり,現在は特別養護老人ホームに入所しています。本人は,長年障がい年金を受け取ってきたことから多額の預貯金があり,その管理をする必要があるとともに,介護保険制度の施行にともない,特別養護老人ホームの入所手続を措置から契約(けいやく)へ変更する必要があります。本人にはすでに身寄りがなく,本人との契約(けいやく)締結(ていけつ)が難しいことから,町長が知的障がい者福祉法(ちてきしょうがいしゃふくしほう)の規定に基づき,後見開始(こうけんかいし)の審判(しんぱん)の申立てをしました。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理の結果,本人について後見(こうけん)が開始され,司法書士(しほうしょし)が成年後見人(せいねんこうけんにん)に選任されました。
その結果,成年後見人(せいねんこうけんにん)は介護保険契約(かいごほけんけいやく)を締結し,これに基づき,特別養護老人ホーム入所契約(けいやく)のほか,各種介護サービスについて契約(けいやく)を締結し,本人はさまざまなサービスを受けられるようになりました。
任意後見制度(にんいこうけんせいど)とは,どのような制度ですか?
任意後見制度(にんいこうけんせいど)は,本人が十分な判断能力(はんだんのうりょく)があるうちに,将来,判断能力(はんだんのうりょく)が不十分な状態になった場合に備えて,あらかじめ自らが選んだ代理人(だいりにん)(任意後見人(にんいこうけんにん))に,自分の生活,療養看護(りょうようかんご)や財産管理に関する事務について代理権(だいりけん)を与える契約(けいやく)(任意後見契約(にんいこうけんけいやく))を公証人(こうしょうにん)の作成する公正証書(こうせいしょうしょ)で結んでおくというものです。そうすることで,本人の判断能力(はんだんのうりょく)が低下した後に,任意後見人(にんいこうけんにん)が,任意後見契約(にんいこうけんけいやく)で決めた事務について,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任する「任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)」の監督のもと本人を代理して契約(けいやく)などをすることによって,本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。

精神障がい者の方の地域定着

目的とは?
受療中断者や自らの意思では受診できない等の理由により、日常生活上の危機が生じている精神障がい者に対し、一定期間、医療及び福祉の包括的な支援を行うことを目的とする。保健所、精神保健福祉センター等に医師、看護師、精神保健福祉士、相談支援専門員等の多職種から構成されるチーム(以下、「多職種チーム」とする)を配置し、できるだけ入院をせずに地域生活の継続が可能となるための支援を行うものとする。
対象者は?
対象者 以下のいずれかに該当する者とする。
(1)精神医療の受療中断者 精神科医療機関への概ね1か月以上の受診中断、又は服薬中断等により、 日常生活上の危機が生じている者。
(2)精神疾患が疑われる未受診者 地域生活の維持・継続が困難であったり、家族・近隣との間でトラブルが 生じるなどの日常生活上の「危機」が発生しており、精神疾患が疑われ、入 院以外の手法による医療導入が望ましいと判断される者。 なお、対象者が危機と捉えていなくとも、対象者が精神症状の悪化により 生活上の困難をきたすと想定される場合も対象とする。
(3)重度の精神障がい者 持続的に障がいをもたらしている主診断名が ICD-10に基づく下記に該当す る者。
F06-07 脳損傷、脳機能不全および身体疾患による他の精神障がい 脳疾患、脳損傷およ
び脳機能不全および身体疾患による他の精神障がい
F2 統合失調症、統合失調型障がいおよび妄想性障がい
F3 気分(感情)障がい
F4 神経性障がい、ストレス関連障がいおよび身体表現性障がい
F5 生理的障がいおよび身体的要因に関連した行動症候群
[注:症状性を含む器質性精神障がい(F06-07 を除)、精神作用物質使用による精神お よび行動の障がい(F1)、成人のパーソナリティおよび行動の障がい(F6)、精神遅滞(知 的障がい)(F7)が主診断である者は除外する]
(4)ひきこもりの精神障がい者 特に身体疾患等の問題がないにも関わらず、数ヶ月以上、社会参加活動を 行わない状態や自室に閉じこもり家族等との交流がない状態が続いている者 で、精神疾患(主として統合失調症)による入院歴又は定期的な通院歴のある もの又は、症状等から精神疾患が疑われるもの。
(5)長期入院等の後、退院した者 精神疾患による長期(概ね 1 年以上)の入院又は、複数回繰り返しての入院 から退院し、病状が不安定な者。
支援期間は?
利用者が、円滑に医療機関や障がい福祉サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね6カ月を目安とする。予定した実施期間の終了後も、対象者の疾患が重度であるなど、地域の多職種チームでの支援を要する場合は実施期間を延長し支援を行うことが望ましい。 なお、この支援は地域生活の継続を目的とするものであるが、自傷他がいの恐れがあるなど必要が生じた際には、都道府県担当課等と協議し、精神保健福祉法に基づく入院措置等を検討するものとする。
実施機関や対象者の危機介入は?
実施機関 対象者の危機介入や早期支援に対応可能な多職種チーム体制を備える保健所 及び精神保健福祉センターが実施する。 また、都道府県等は下記の機能を有する医療機関等に業務の一部を委託する ことができる。
(1)訪問看護ステーション(主として精神障がい者への対応を行っていること)
(2)相談支援事業所、地域活動支援センター等(主として精神障がい者の対応 を行って
おり、病院、保健所等と十分に連携を図る体制を講じているこ と)
(3)精神科を主に標榜している診療所(往診、訪問看護に対応できること)
(4)精神科病院(往診、訪問看護に対応できること)
実施機関の機能は?
実施機関の機能及び人員配置等 事業実施に際し、下記の機能及び人員配置を備えていることが望ましい。 (機能)
(1)支援対象者の選定及びアセスメント(業務を医療機関等に委託している場合には保健所又は精神保健福祉センター等との協議に基づいて行うこと)
(2)支援対象者に関する支援計画の作成及び支援目標の設定
① 医師の往診を含む訪問等による生活支援・服薬管理の支援
② 支援対象者の近隣等、支援対象者が所属する地域社会との良好な関 係づくり
③ 支援対象者への夜間休日の相談支援体制等(人員配置等)
(1)原則 24 時間 365 日の相談支援体制をとれること。但し、休日・夜間に ついては電話による相談対応でも可とする。精神科医師以外の職員に ついては、病棟、外来、施設等の兼務ではなく、訪問に専従する職員 として複数配置していること

(2)従事する職種については、保健師、看護師、精神保健福祉士のいずれ かの職員が少なくとも1名以上配置され、他に作業療法士、臨床心理 技術者等の専門職が配置されていることが望ましいこと。  
(3)精神科医師は常勤医でなくとも可とするが、電話等による指示及び往 診できる体制がとれることが望ましいこと。
(4)専用の事務室を備え、1日1回のミーティング(カンファレンス)と 定期的に関係者によるモニタリングを実施すること。
(5)支援対象地域は、訪問による支援が可能な合理的な範囲を定めるもの とする。(例:実施機関から概ね30分以内)なお、交通手段は問わな い。
(6)管内の医療、保健、福祉の関係機関及び地域自立支援協議会等と連携 が図れる体制にあること。
支援の手順は?
支援の手順 支援に際し、下記のプロセスに添って行われることが望ましい。
(1)相談受付、状況把握  
(2)個別支援会議の開催
(3)初回訪問
(4)アセスメント
(5)個別支援計画の作成・多職種チームが実施
(6)個別支援計画の実施(危機介入を含む)
(7)再アセスメント及びモニタリング
(8)実施評価(エバリュエーション)
(9)支援終了
・なお、精神保健福祉法第34条に基づく移送、措置入院等の対応が必要と判断される場合は、相談者の同意を得て早急に対応すること。

(1)相談受付、状況把握 ・相談者の来所理由、困難と感じていること等を整理しながら、相談対応すること。
(2)個別支援会議の開催 ・主治医及び関係機関(者)から構成される個別支援会議を速やかに開催する。(業務を医療機関等に委託している場合には保健所又は精神保健福祉センター等との協議に基づいて行うこと) ・必要に応じ、市町村、福祉事務所、障がい福祉サービス事業者及び家族等に も呼びかけ、協力を求めるものとする。 ・個別支援会議においては、アセスメントした情報に基づき、①情報交換及 び共有、②支援目標の設定、③具体的な支援内容、④支援の開始時期及び終了時期、⑤多職種チームの選定、⑥協力機関(者)について確認を行う。
(3)初回訪問 ・多職種チームは、個別支援会議で確認された情報や訪問時の状況に基づき対応する。 ・訪問目的と所属機関を伝え、対象者の主訴や病状把握を行う。 ・対象者から支援内容について了承を得られた場合、文書による契約を行うことが望ましい。
① 訪問拒否、緊急性を要しない場合 ・訪問する旨を家族等から必ず事前に伝えてもらう等、面接できる環境づくりを図ること。 ・対象者が訪問を強く拒む場合は、無理な介入を行わず、挨拶や声かけ、見 守りを継続する等にとどめること。
② 緊急性を要する場合 ・家族や相談者の了解を得て、精神保健福祉法に基づく入院に向ける選択も 考慮しながら対応すること。
③ 訪問を拒否しない場合 ・対象者の訴えを傾聴すると共に病状及び取り巻く環境についての状況把握 を行う。
(4)アセスメント ・個別支援会議で確認された情報と初回訪問時に得られた情報を照らし合わせ、課題を整理する。 ・必要に応じて、対象者や関係機関等に情報確認を行う等、偏った情報に陥らないよう留意する。
(5)個別支援計画の作成 ・アセスメントされた情報をもとに個別支援計画を作成する。なお、支援内容については、可能な限り対象者から承諾を得ること。 ・策定にあたっては、個別支援会議を開催する。個別支援会議には対象者本人が同席することが望ましい。 ・記載については対象者がわかりやすい表現とすると共に、支援に対応する責任者及び担当者を明確にする。 ・病状悪化や環境の変化等による危機介入の関わりについては、関係機関(者) において十分に協議を行い、必ず支援計画に盛り込む。 ・なお、支援計画には、対象者自身が病状悪化する兆候を見極め、回避する ための対応についても必ず盛り込むものとする。 ・作成された個別支援計画については、対象者の了解を得たうえで、関係機 関(者)に配布し、支援の協力を求める。
(6)支援の実施(危機介入を含む) ・個別支援計画に基づき、訪問等による支援を行う。 ・支援に際しては、関係機関(者)と随時、連絡を図り、情報交換を行う。 ・病状等に大きく変化がある場合(危機介入)、できるだけ利用者の了解を 得たうえで主治医に連絡し対応を仰ぐ。
(7)再アセスメント及びモニタリング ・設定した支援計画について、①適切に行われているか、②修正すべき点はないか、を確認する。開催回数としては月1回を目安とする。 ・多職種チームでの検討に加え、対象者及び関係機関(者)に対しても状況 確認を行う。なお、必要に応じて会議を開催し、情報交換を行うことが望ましい。 ・また、対象者の病状や生活状況の変化に伴い、新たなニーズが生じる場合もあることに留意し対応する。
(8)実施評価(エバリュエーション)
・多職種チーム及び関係機関(者)が参加し、期間内で提供されたサービス結果や効果を確認する。また、対象者が参加することが望ましい。(業務を医療機関等に委託している場合には保健所又は精神保健福祉センター等との協議に基づいて行うこと)
・病状及び生活全般の変化、対象者のサービス利用等に係る満足度、多職種チームの介入による効果について、総合的に評価を行う。
(9)支援終了対象者が下記に該当する場合、支援終了となる。なお、対象者から支援再開の申し出があった場合は、速やかに対応するものとする。
① 対象者が支援した目標に到達した場合
② 対象者から終了の申し出があった場合
③ 対象者が入院、施設入所した場合
④ 対象者が死亡、行方不明の場合

自閉症スペクトラムやADHDをはじめとした発達障がいを抱えている方、そのような方々への介護や育児を行っている方は、様々なお悩みに直面している事と思います。そのような方たちに少しでも力になれるようにと、ご利用になった方たちから寄せられたご質問への回答などを掲載しています。相談員へご相談いただく前に感じている疑問や質問などの解消に役立つ場合もありますので、ご覧ください。
もちろん、お越しいただければより専門的なご質問や、難しいお悩みに対してのサポートなども行うことができます。他人に相談することへの抵抗を感じられるかもしれませんが、一度勇気を持ってお越しください。ご相談者様の勇気を受け止め、そのお悩みを解決できるように、スタッフ一同丁寧な対応をしてまいります。お悩みが深刻化する前に、ぜひともご相談ください。

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